NullPointerException
雑記
「「R2-D2を作りたかった」iRobot創設者、夢への道のり」
「R2-D2を作りたかった」iRobot創設者、夢への道のり
スター・ウォーズを見てロボットに夢中になった11歳の少女が、今や世界最大のロボット企業の創設者。彼女が成功に至るまでには、資金難におびえながら奮闘する忍耐の日々があった。
マサチューセッツ州ケンブリッジ(Associated Press)
「スター・ウォーズ」第1作を見て、当時数学好きの11歳の少女だったヘレン・グレイナー氏は、いつか「R2-D2」のようなロボットを作りたいと夢見た。iRobotの共同創設者として、そのとらえどころのない夢を追いながら窮乏の日々を耐えた末、同氏は今や「自分のヒーロー」であるR2-D2のような製品を誇れるようになった。
ロボット掃除機「Roomba」は、ルーク・スカイウォーカーが信頼するロボットのようにXウィングファイターを修理することはできないかもしれない。だがRoombaは2年半の間に25カ国でおよそ120万台売れたのだ。
現在37歳のグレイナー氏にとって、RoombaとiRobotの軍用機器の成功は、ロボットを空想の産物から実用的な道具に変えることの正当性を証明するものだ。
「以前はロボットは恐ろしいものと考えられ、サイエンスファクトというよりもサイエンスフィクションと受け取られていたと思う」と同氏は最近の取材の中で語った。「これらのロボットはがんばっている。われわれも懸命にやっている――ロボットをメインストリームにするために。われわれは、場合によっては、ロボットに人間よりもうまく仕事をさせることができる」
iRobotは現在、ロボット工学専業の企業としては世界最大で、200人の従業員を抱えている。だがその名声を得るのは容易ではなかった。
グレイナー氏は1990年にiRobotを立ち上げた後、絶えず経営資金を調達できなくなる恐れにさらされながら、機械工場で何時間も過ごしては、実用的なロボットを作ろうと奮闘していた。ほかの分野に移るという利益になる提案もあったが、同氏はiRobotにこだわった。
「想像してみてほしい。6年半の間、たくさんのチャンスが転がってきたのに、『私はこの仕事を成功させると心に決めている』と言うのだ」と共同創設者の1人コリン・アングル氏は語る。同氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)の1年生だったときにグレイナー氏と出会った。
iRobotのCEO(最高経営責任者)を務めるアングル氏は、グレイナー氏の成功には、技術的な専門知識と経営スキルだけでなく、リスクをとって耐えたことも貢献していると話す。
「彼女(グレイナー氏)は『だから何? 何でダメなの? やってみようよ。会社を興そうよ。スノーボードに行こうよ。ペイントボールやろうよ』と言うタイプの人間だ」(アングル氏)
iRobotの主力軍用ロボットである車両型の「PackBot」は、イラクとアフガニスタンで数千件の任務をこなしており、リモコンで道端の爆弾を解除したり、洞くつや建物の探査を行っている。
おそらく、この仕事の最もやりがいのある点は、米軍が導入した150台のPackBotのおかげで安心感が高まったと感じているイラク駐留の米兵からポストカードをもらうことだろうとグレイナー氏は語る。
iRobotは1日に約1台のPackBotを生産しているが、注文に追いつけていない。この製品は政府機関向けの販売や受託研究により、同社に5000万ドルをもたらした。
グレイナー氏は、PackBotの防御的な役割を強調しているが、iRobotやほかの防衛関係の受託業者が開発している技術は、前線で働くロボット――兵士を案内し、砲撃を支援する武器のない偵察車両から、自分で砲撃を行う自律武装ロボットまで――につながると見られている。
防衛コンサルティンググループGlobalSecurity.orgのディレクター、ジョン・パイク氏は、今後10年のうちに、ロボットは非常に効果的な対人兵器になるだろうと予測している。
このような展望は倫理的な懸念を呼んでおり、またアイザック・アシモフが1950年に「I, Robot(邦題:われはロボット)」――グレイナー氏はこれにちなんで社名を付けた――で書いた「ロボットは人間を傷つけてはならない」という原則に逆行している。
グレイナー氏は、ロボットに人の命を奪うかどうかを自分で決める力を与えるべきだとは思わないと語る。
iRobotの現行の軍用ロボットはいずれも自律機能を持っておらず、すべて人間が直接操作する。また同社はPackBotの荷物運搬機能(それには武器の運搬も入るかもしれない)を開発しているが、同社の現行ロボットには武器は搭載されていない。
グレイナー氏はサラリーマンの父と保育士の母の娘としてロンドンで生まれ、ニューヨークのロングアイランドで育った。ロボットに夢中になる前は、数学、科学、チェスに熱中していた。
同氏はロボット工学の追究という「ビジョン」を抱いてMITに入学し、同校の人工知能研究所に進んでコンピュータサイエンスで修士号を取り、同時に米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所で衛星の研究もしていた。
同氏がiRobotをアングル氏、CTO(最高技術責任者)を引き受けたMIT教授のロドニー・ブルックス氏とともに興したとき、3人は午前10時30分に始業し、夕方前にオフィスのソファで昼寝をして、それから機械工場で午前3時まで働いていた。
同社の最初の製品は、「Genghis」という6本足の歩くロボットだった。これはロボット工学研究者のためのツールとして設計された。
それから約6年後、同社は初めて成功した軍用製品を投入し始めた。その後Roombaが登場した。
グレイナー氏は、Roombaが販売台数100万台に達するのに要した期間がわずか2年だったことを誇りに思っている。エアコンはそこまで達するのに7年、テレビは6年、ビデオデッキは5年かかった。
家事ロボットがもっと売れる可能性はある。国連の昨年の報告によると、2007年末までに掃除機からプール掃除マシンまで410万台の家事ロボットが世界中で使われるようになる見通しだという。
「問題は『家庭にロボットが導入されるのか?』ではなく、『家庭に何台のロボットが導入されるのか?』だ」とグレイナー氏は明言した。
同氏はボストンから20マイル西のウェイランドにある乱平面作りの自宅を掃除するために、3台のRoombaを持っている。独身の同氏は、自宅で過ごす余暇の多くを読書やガーデニングにあてている。
同氏は自分がコンピュータゲーム中毒であることを認めているが、カヤックや登山、スノーボードなどアウトドアの活動のための時間も作っている。
飛行機恐怖症なのにもかかわらず、グレイナー氏は頻繁に半自律軍用車の開発パートナーであるJohn Deereや、モップがけロボット「Scooba」向けの洗剤を開発したCloroxを訪れている。Scoobaは先週プロトタイプが公表され、来年初めには小売り販売が開始される予定だ。
同氏はロボット工学カンファレンスへの出席後にAssociated Pressの取材に応え、世界に向けてロボットの可能性を説明するのは自分の天職だと感じていると話した。
「今は皆『これはロボットじゃない。掃除機だ』とか『これはロボットじゃない。軍の無人地上車だ』と言うけれど、これらは皆ロボットだ」(同氏)
「これは採用できる分野がたくさんある新しい技術だということを人々に理解してほしい。iRobotで、われわれは素晴らしい最初の数歩を進んだ」
「しかし、それはこの業界が実現できる氷山の一角だ。限界は想像力だけだ」