【11News】米国はアトランタにて心臓麻痺で運ばれた男性がおよそ100回に渡って死亡→復活を繰り返し、最終的に生還したとのこと。ピードモント病院医師らは医学史上全く前例がない、としてその驚きを語っているという。昨年11月20日、自宅で仕事をしていたジム・マククラッチー氏(写真)は、突然意識を失った。「私が覚えているのは、目が覚めて、妻がそこに立っていたことです。私は彼女にすぐに救急車を呼ぶよう言いました。」そしてジムはその場に崩れ、再び意識を失った。そのとき、ジムは何か発作が起こったのではないかと推測したが、それは心室細動(心筋梗塞の一種)だったのである。
「こうした状況でこの症状が発生した場合、生存率は通常およそ5%程度です。多くの場合は救急車が来る前に死亡します。」今回、ジムの延命に当たったピードモント病院の心臓病専門家チャールズ・ウィルマー医師はそう語っている。しかし幸運なことにジムは存命し、救急車によって病院まで搬送された。そして、ジムが"新たな医学記録"を作り上げようとは、この時誰に知る由もなかった。
「搬送されてきたとき、彼は非常に不安定な様態でした。そのため、我々は彼に電気ショックを与えて何とか心拍数を取り戻したんです。彼は一度は息を吹き返したんですが、ぶるぶると震え、また意識を失いました。そして我々はまた電気ショックを与えたんです。」ウィルマー医師は語った。
そして搬送から一時間、ジムの心臓は実に50回余りに渡って停止したが、驚くべきことに、ジムはその都度電気ショックで息を吹き返し続けたのである。その間、ジムは自分の心臓が停止して死亡し、また復活する瞬間を意識することが出来たという。
「自分の心拍モニターを見つめていたんです。自分の心臓が止るのを見るのは本当に奇妙な体験でした。心臓が停止すると、それから3、4秒間は意識があって、それから意識が無くなっていくんです。」
ウィルマー医師はじめ医師団らはこうした現象はこれまで見たことがない、とその驚きを語っている。「とにかく手当てを行いながら、同時にどうやったら彼を延命できるか、皆必死に考えていました。考えられる対処は全て行いましたが、その都度彼は再び心停止してしまうわけです。こうして、我々はこれまで前例がない最後の望みにかけることにしたんです。」
医師団はジムの心臓へのダメージに注意を払いつつ、電気ショックを幾度となく繰り返し、心拍の安定化を図ったという。そして長時間に渡る延命処置の結果、ついにジムの心臓は再び安定して鼓動をはじめ、長い戦いから奇跡的な生還を果たしたのである。
医師によれば、その日ジムは、合計100回余りに及んで死亡し、その都度電気ショックを与えて蘇生したため、胸にはその代償として第二級火傷を負ったという。
「何度も電気ショックを与えなければならなかったんです。さもなければ彼は今ここにいなかったでしょう。」ウィルマー医師は語った。
しかし幸運にも、ジムは幾度にも渡る電気ショックに耐え、ついに完全に息を吹き返したのである。「存命できたことは何よりの幸運ですが、しかし、自分の身に起こったこと全てに幸運を感じるんです。誰も体験しえなかったようなことを経験できたわけですから。まるで何か大きな贈り物をもらったような気分です。」
そして現在、ジムは完全に回復し、家族とともに幸運な日々を送っている。また医師の見解によれば、ジムはそれまでなんの心疾患も抱えておらず、今回襲われた心停止はインフルエンザ等のウィルスが心臓に侵入し、彼が飲んでいた抗生物質が引き起こしたものであると推測している。
またジムの体験とその延命処置は、その後米国の心疾患専門医師らに詳細が伝えられ、今後の心停止治療に新た示唆を与えているという。