NullPointerException

雑記
「金粉を全身に塗ったままでいると窒息死する」


『金粉を全身に塗ったままでいると窒息死する』

テレビのあるバラエティ番組でのこと。お笑いタレントの全身に金粉を塗り、出演させるという企画が持ち上がった。そのタレントは金粉を全身に塗ったまま、激しいパフォーマンスで笑いをとり、撮影は順調に進んだ。
そして彼の出番は無事終了。ところがそのお笑いタレントが、収録後も金粉を塗ったままの状態で休憩していることに気づいた番組スタッフが慌てて駆け寄って言った。
「長い時間、金粉をつけたままでいると皮膚呼吸ができなくて窒息死してしまうんです! 早く金粉を取って下さい!」
驚いたタレントは慌てて全身の金粉を取り払ったという。

このようなウワサは、特にテレビ関係者の中でよく語られ、金粉や他の塗料を全身に塗る時には、長い時間塗ったままにしないようにという注意がうながされているという。

このウワサはどれ程の人が知っているだろうか?認識度調査の結果、70%の人がこのウワサを知っており、その内の90%の人がウワサを本当だと信じていた。そしてテレビ番組のメイク担当者の間でも、このウワサは浸透しており、本番の直前まで顔と背中だけは塗らないという。

さらに調査を進めたところ、なんと実際に全身に金粉を塗り、ショーを行っている集団を見つけることができた!舞踏家集団である「大駱駝艦(だいらくだかん)」の若林淳氏に話を聞いたところ、公演の際、長い時は1日中金粉を塗りっぱなしだが、特に体に問題はないという。
やはりこのウワサはウソなのか?それとも彼らが特別な技能を持っているのか?

このウワサの真偽に付いて日本医科大学皮膚科の川名誠司教授に伺ったところ、そもそも人間は全く皮膚呼吸をしていないのだという。通常、人間の呼吸は全て肺で行われている。そして、人間の皮膚は汗腺や皮脂腺から二酸化炭素などの老廃物が排泄されるだけで、呼吸のための酸素を取り込むことはないというのだ。ちなみに、脊椎動物で皮膚呼吸をしているのは蛙やイモリなどの両生類である。

しかし、いくら人間が皮膚呼吸をしていないとしても、金粉を全身に塗る時には気をつけなくてはいけない点がいくつかあるという。
@金粉に限らず、何かを全身に塗ることで保温効果が高まり、大量に汗をかくため、慣れない人が激しい運動をすると脱水症状に陥る危険性がある。
A金属の含まれる粉を塗ることは毛穴をふさぐことになるため、アトピー性皮膚炎や肌の弱い人が行なうと、肌が荒れたり炎症を起こす原因になってしまうことがある。

では、このウワサはどうして広まってしまったのだろうか?それはある映画に答えが隠されていた。

それは1964年に公開された「007ゴールドフィンガー」という作品の1シーン。 女性が全身に金粉を塗られて殺されてしまい、それを見た主役のジェームス・ボンドが、「彼女は全身に金粉を塗られたため皮膚呼吸ができなくなり、窒息死してしまった」と言っているのだ…
この映画が公開された当時、全世界の人が“金粉を塗られ殺された”というシーンに衝撃を受けた。そのため、このウワサが一気に巷に広がったのではないかと考えられるのだ。

よって、「全身に金粉を塗ったままでいると窒息死する」というウワサはファーイーストリサーチ社的には『ウソ』。

ただし、体に塗る時は、肌の炎症や脱水症状には十分注意していただきたい。