NullPointerException

雑記
「ミサイル防衛で得をするのは誰だ」


 【何が起きているのか】

 日本のミサイル防衛(MD=ミサイル・ディフェンス)は、北朝鮮から飛来してくるかもしれない「ノドン・テポドン」を主に想定したものであることは言うまでもない(中国という説もある)。

 北朝鮮の核脅威をめぐっては、98年に三陸沖の日本海にミサイルが撃ち込まれ、現在は6カ国協議などで核開発凍結が迫られている。関係・周辺国にとって安全保障上関心の高い問題なのだが、どれ位の脅威なのだろうか。


 【技術的に困難な北朝鮮】

核兵器は運搬手段と核爆弾がセットになって初めて核兵器たりうる。
ミサイルに核弾頭を積んで相手国を狙い撃つには核弾頭(爆弾)を小型軽量化しなければならない。
小型軽量化するには高度な技術を要する。
北朝鮮がそこまでの技術を持っているのか、専門家は首をかしげる。

 ミサイルを飛ばすにも高度な技術を要する。
命中精度(半数必中界=CEP)において中国のミサイルは米国に比べて10年〜20年遅れていると言われている。
北朝鮮製の場合さらに遅れている。
「東京駅を狙ったら池袋に着弾する」と揶揄されるゆえんだ

 98年に三陸沖に着弾したのミサイルは、もちろん核弾頭は積んでいなかった(当然だ。だから試射という)。
この時、米国は、大気圏外に残された破片をひとつひとつ解析した。
その結果、核弾頭を付けて相手国を狙い撃てるミサイルではない、と判断したもようだ。


 【いい加減なMD】

 では仮に大量破壊兵器を積んだミサイルが飛んできたら、どうやって防ぐのか。MD(ミサイルディフェンス)というのは、飛来してきた敵国のミサイルをミサイルで撃ち落とすシステムなのだ。
これは初期のMDであるABM(弾道弾迎撃ミサイル)から変わっていない。

 現在のMDは、軍事偵察衛星はもとよりイージス艦のレーダーでも発射を察知し、迎撃態勢に入る。迎撃ミサイルも陸上基地、海上のイージス艦から発射する。衛星からの誘導で敵ミサイルを追い、近距離からは赤外線による追尾も加わる。低空で撃ち落したり、大気圏外の高高度で撃ち落したりと結構芸は細かい。ただし理論だけ。

 湾岸戦争(91年)ではサダム・フセインがイスラエルにスカッドミサイルを39発撃ち込んだ。
イスラエルに配備されていたミサイルディフェンスは、このうち何発も迎撃し損ねている。
 こんな不完全なシステムをなぜ米国は日本に売り込んでくるのだろうか。
それは誰の利益になるのかを考えると早いし分かりやすい。
米有数のミサイルメーカー、レイセオンの取締役は、MDを一心不乱に進めるラムズ・フェルド国防長官である。
MDの必要性を日本に来て訴える米シンクタンクは主に共和党系だ。
MDがちゃんとした完成システムになるまでには天文学的な金額を要するといわれている。

大変なビッグビジネスだ。

 迎撃率は今ひとつのようらしい。
アリゾナ州の砂漠での迎撃実験で「6割がた命中させた」などと国防総省担当者とミサイルメーカーは豪語している。
笑止だ。
実戦では「さあこれから飛んできますよ」との打ち合わせはない。 

【一発でも撃てば北朝鮮は全滅】

 金総書記は一カ所にずっといない。
居場所を転々と変えると言われている。
リビアのカダフィ大佐の居所に86年、米国が巡航ミサイルを撃ち込んだ。
カダフィ大佐はからくも難を逃れた。
つい十数分前まで大佐はそこにいたのである。

 これを教訓に金総書記は短時間ごとに居所を変えていると言われている。
米国防総省の北朝鮮担当者と重要案件を詰める日本側の当局者から直接聞いた話だが、それでも米国は「(変なことをしたら)居所にミサイルを撃つ」と金総書記に警告している、とのことだ。実際、総書記の居場所はどこに動こうが米国に把握されているという。

 北朝鮮がもし一発でも弾頭つきのミサイルを発射しようものなら、金総書記の居宅どころか、平壌が焦土と化してしまうまで米軍から空爆されることは間違いない。

 94年、「第2次朝鮮戦争」ぼっ発寸前のところまで緊張が高まった核開発疑惑の際、ペリー米国防長官は「北朝鮮空爆」を唱えたほどだ。
今でも北朝鮮に不穏な動きがあれば、第7艦隊の空母艦隊は日本海にすぐ出動する。
戦闘機の離発着を激しく繰り返し、北朝鮮を威嚇する。真っ先に駐韓米軍が出動するだろうが。

 米軍のプレゼンスが北朝鮮の脅威に対する抑止力になっていることは確かだし、脅威をネタに日本に売りつけようとしている米のミサイル防衛網がいい加減なものであることもまた確かだ。

>今は試作段階
果たしてこの玩具がどれほど進化するのだろうか?